有働眞理子研究室 〜ことばの学びと身体性〜

お知らせ

  • 2015.10.01ご案内 ストーリーテリングセミナー第3弾として「Vickyに学ぶ ナラティブ・インタベンション ~物語を語る力を育成するプログラム~」を10月31日(土)に開催いたします。(詳細はここをご覧ください。お申し込みのご連絡はこちらから。)
  • 2015.05.09報告 5月2日、9日の「知的障害のある人と楽しむストーリーテリング Nicola Grove セミナー&ワークショップ」は盛況のうちに終了いたしました。
    (内容はこちらでした)。
  • 2015.03.30報告
    3月20日に、日本発達心理学会第26回大会(東京大学本郷キャンパス)において、ラウンドテーブル(「ことばと音楽の融合」)を無事完了いたしました。

教育大学における研究と教育

言語学理論と英語教育実践

 学問は、本来教育への有用性の度合いを尺度に評価されるべきものではありませんが、研究成果の内容と活用方法次第では、教育への貢献が大きく期待されるものです。英語教育において「文学部」的な知識がもし「役に立たない」としたら、それは、消化不良を招くような、工夫と加工が不足した導入方法が原因であり、知識自体に原因があるのではありません。一方、理論の優位性や有用性を示すために、教室の実情を検証することなく教育への応用を試みても、一方的な力技として不発に終わりかねません。
様々な知識(音声学・音韻論,統語論,意味論,語用論などの言語学的知識をふまえた,英語という個別言語の知識)をふまえて、学校英語教育の知識内容を精査し、指導方法の改善を検討する努力をしています。言語研究の知見と教室の実践を繋げてブレンドする努力をしています。

言語理論、フィールドワーク、特別支援教育

 言語学的な母語獲得理論には、知的障害や対話困難を抱えた子どもたちの言語行動を分析する視点が不足しており、そういった子供達の言語教育や対話支援の切実なニーズに、必ずしも対応できているとは言えない現状があります。知的障害者の家族を観察のフィールドとして有し、養育した経験から、言語研究はそこにも光を当てなければならないと考えるようになりました。現在は、科学研究費補助金の支援を得て、知的障害児・者の教育や福祉ケアの場面における言語行動を、オノマトペなど身体性の高い言語表現などを手がかりに研究しています。最近は、対話環境改善のためのナラティブ・語りの重要性にも着目しています。

教員養成のための大学英語教育

 学部生への教育については,身体性の高い言語表現・表出というテーマで,英語表現実践の授業実践に実現させています。英語の歌や英語劇を授業で取り上げ,グループでの演技作品発表を通して,音声学をふまえて発音指導を行い、さらに,気持ちを伝えるための身振り・表情など総合的に工夫することで,発話の身体性を体感してもらっています。小学校教員になる学生たちにとって,発達途上の子どもとの対話を豊かにする技術・感性の涵養に、直接役に立つ言語学習方法であると確信しています。

教員研修のための英語学・言語学

 大学院においては,現職教員と英語教師志望学生を対象に、言語学の基礎的知識の概論を学び,教科書や参考書等で取り扱われる知識提示のあり方を検証し,代替案の提案を試みる等,実践的な文法指導の探求を行います。学校で必要とされる文法・語法研究や、音声指導における理論と実践の関係について,基礎研究及び実践研究を関連させて進めたいと考えています。